分厚いマニュアルを読み返す。会議の前に過去の資料を探す。同じ質問を受けるたびに、説明の根拠を確認する。こうした仕事を支える選択肢が、Gemini Notebookです。

これまでのAI Insightsでは、AIエージェント、MCP、Skills、導入に向く業務を紹介してきました。今回は、実際に触れられるツールを取り上げます。資料を読む・探す・理解する場面から、AI活用を始めたい方に向けた入門です。

この記事でわかること
  • NotebookLMから名称が変わった、Gemini Notebookの基本
  • 要約・出典確認・音声解説を、仕事でどう使うか
  • 公開資料で試す手順と、具体的な質問例
  • 9月の利用上限変更と、資料・アカウントの確認ポイント

Gemini Notebookとは?

Gemini Notebookは、Googleが提供するAIリサーチツールです。以前の名称はNotebookLM。Googleは2026年7月16日に名称変更を発表し、独立した製品として引き続き利用できると案内しています。[1]

基本となる使い方は、テーマごとに「ノートブック」を作り、参考にする資料を「ソース」として追加すること。PDF、Word、Googleドキュメント、ウェブページなどを取り込めます。[2]

たとえば「新任担当者向けの業務案内」というノートブックに、利用を認められた手順書や説明資料をまとめます。その資料に対して質問し、必要な情報を整理していくイメージです。

本記事は、パソコンのブラウザ版で行う基本的な資料活用を中心に紹介します。機能や画面は、プラン・アカウント・利用環境によって異なる場合があります。仕様の確認日は2026年9月18日です。

仕事に役立つ3つの機能

1. 長い資料の要点をつかむ

追加した資料の概要を確認したり、チャットで特定の観点に絞って要約を依頼したりできます。[2]「要約して」だけでなく、「初めて担当する職員が押さえる手順を整理して」と目的を添えると、読むべき箇所を絞る助けになります。

2. 回答から引用元へ戻る

資料に基づく回答には引用が付くため、選択すると該当箇所を確認できます。質問に使うソースを選ぶことも可能です。[3]回答を読み、元の記載と照らし合わせる流れを作りやすい点が、実務で注目したい特徴です。

3. 資料を日本語の音声解説にする

「音声解説」では、資料の内容をAIによる音声に変換できます。日本語にも対応しています。[4]研修資料の全体像を先につかむ、学んだ内容を復習するといった使い方が考えられます。聞きやすくても内容が正しいとは限らないため、数字や条件は原文で確認しましょう。

中小企業・自治体での使いどころ

まずは、参照資料がそろっていて、人が内容を確認できる仕事が候補です。次の例は、活用場面をイメージするための提案であり、導入実績や効果を示すものではありません。

場面用意する資料依頼すること
引き継ぎ・新人研修業務手順書、用語集、研修資料作業の流れ、つまずきやすい点、確認すべき項目を整理する
会議の準備過去の議事録、今回の説明資料決定済みの事項と、引き続き検討する論点を分ける
問い合わせ対応の準備公開済みの案内、製品説明、FAQ質問に関係する記載を探し、出典付きの回答案を作る

問い合わせの回答案は、担当者が条件や表現を確認してから使います。資料の中に答えがない場合は、推測で埋めず、確認先を整理する使い方にしましょう。

最初は、公開資料で試してみる

Good Steadでは、初回は一つのテーマに絞り、公開されている資料や利用許可のある資料を数点選ぶ進め方をおすすめします。業務データを大量に入れる前に、読み取りと出典確認の流れを体験できます。

01

公式サイトから開く

Gemini Notebookにアクセスし、Googleアカウントで利用します。仕事で使う場合は、組織が利用を認めたアカウントを選びます。

02

テーマを決めて、資料を追加する

ノートブックを作り、[ソースを追加]から資料を取り込みます。例は「自社サービスの説明準備」。公開パンフレットとFAQなど、同じ目的の資料を選びます。[2]

03

確かめたいことを具体的に質問する

「説明するときに外せない特徴を3点整理して」など、用途と出力の形を指定します。最初は自分が答えを確認できる質問にすると、使い方をつかみやすくなります。

04

引用を開き、原文と照合する

数字、対象者、適用条件を確認します。足りない情報があれば資料を補い、質問を絞って再度確認します。音声解説も試す場合は、Studioの[音声解説]から生成できます。[3][4]

そのまま試せる質問例

資料名や対象業務を置き換えて使える、Good Stead作成の例です。出力は下書きとして扱い、引用元と見比べてください。

業務マニュアルを読むとき

選択した手順書をもとに、この業務を初めて担当する人向けに、作業の順番・必要なもの・確認する点を表にしてください。根拠となる箇所を引用し、資料にない内容は「記載なし」としてください。

会議の準備をするとき

選択した議事録から、決定事項・未決事項・次回確認することを分けて整理してください。担当者と期限は明記がある場合だけ記載し、推測で補わないでください。

説明や問い合わせ対応を準備するとき

この案内資料を読んだ人が迷いそうな点を5つ挙げてください。それぞれについて、資料から答えられることと、担当者への確認が必要なことを分け、引用を付けてください。

「誰のために」「何に使うか」「どの資料を使うか」を添えるのがコツです。ただし、「推測しないで」と書くだけで誤りを防げるわけではありません。質問の工夫と、原文の確認を組み合わせます。

利用前に知っておきたいこと

無料で試せる範囲と、9月の利用上限変更

有料プランなしでも標準の利用枠があります。ただし、Googleは2026年9月2日から、処理に使うコンピューティング量に基づく上限へ変更したと案内しています。使える量は処理の内容などで変わり、5時間単位の枠に加えて週単位の上限もあります。現在の状況は[設定]の[使用量]で確認できます。[5]

古い紹介記事の「1日何回まで」という数字をそのまま前提にせず、試したい作業が自分の環境でどこまでできるかを確認してから、継続利用を考えましょう。

資料の版と、取り込まれた範囲を確かめる

現行版と旧版を混ぜると、回答を確かめにくくなります。資料名に年度・更新日を入れ、今回使う資料を選ぶと整理しやすくなります。Googleドライブからの取り込みには同期機能がありますが、Googleファイルの脚注やコメントは取り込まれないなどの制約もあります。[2]重要な条件が本文以外にある資料は、原本も確認してください。

引用が付いていても、人の確認は必要

引用は、根拠をたどるための手がかりです。必要な例外条件を落としていないか、別の対象や年度の記載を混ぜていないかを確認します。とくに金額、日付、適用対象は、回答だけで判断しないようにしましょう。

アカウントと共有先を確認する

資料の取り扱いは、アカウント種別や利用するサービスによって確認が必要です。公式のプライバシー説明では、一般の利用でフィードバックを送ると関連する資料や回答が収集・確認される場合がある一方、Google Workspaceなどには別の保護条件が示されています。[6]

業務で使う前に、投入してよい資料、利用アカウント、共有する相手を組織内で確認します。最初の体験には、個人情報や機密情報を含まない公開資料が扱いやすいでしょう。

資料活用を、業務改善の入口に

Gemini Notebookを試すと、「資料が見つからない」「最新版が分からない」「同じ説明を繰り返している」といった、仕事の課題も見えやすくなります。AIに質問するための資料をそろえること自体が、業務を整理するきっかけになります。

まずは、毎週読み返している資料を一つ選び、要約と出典確認を試してみてください。そこで見えてきた課題を、研修、手順の整理、AIエージェントの導入へつなげていく。その順序なら、現場で役に立つ使い方を育てやすくなります。

参考資料

機能・名称・利用条件は、以下のGoogle公式情報を2026年9月18日に確認しました。本文の活用例と質問例はGood Steadによる提案です。

  1. Google, NotebookLM is now Gemini Notebook(2026年7月16日)
  2. Google ヘルプ:ノートブックの新しいソースを追加または検索する
  3. Google ヘルプ:Gemini Notebook でチャットを使用する
  4. Google Help: Generate Audio Overview in Gemini Notebook
  5. Google ヘルプ:Gemini Notebook の使用量上限を管理する
  6. Google Help: Privacy and Terms of Use in Gemini Notebook