予定の変更を確かめる。返事を待っている案件を思い出す。会議の前に、資料を最新版へそろえる。こうした「気にかけ続ける仕事」を、AIと分担する選択肢が広がっています。

今回取り上げるのは、Dots・Grok Bot・Museに代表される常時稼働型AIエージェントです。2026年11月1日に確認した公式情報をもとに、継続して仕事を任せる仕組みと、現場での使い方を整理します。後半の業務例と依頼文は、Good Steadによる提案です。

この記事のポイント
  • 会話の合間にも、任された仕事の状況を追い、必要なときに動くことが特徴です。
  • 3サービスは、継続的な作業、記憶、外部サービスとの接続を組み合わせています。
  • Museは10月23日に日本で提供開始。利用条件はサービスごとに確認が必要です。
  • 任せる際は、担当する仕事に加え、報告する条件と終了する条件も伝えます。

常時稼働型AIエージェントとは

本記事では、会話を終えた後も任された仕事を継続し、状況の変化に応じて作業や報告を行うエージェントを「常時稼働型AIエージェント」と呼びます。OpenAIはDotsを「always-on agent」、MetaはMuseを「personal AI agent」と説明しており、各社で呼び方は異なります。[1][3]

「自律型」は、与えられた目標と権限の範囲で手順を判断して進める性質を表します。「常時稼働型」は、会話の外でも仕事を継続する性質に注目した呼び方です。予定や連絡を支える役割に着目すれば、「AI秘書」とも説明できます。

01 / CONTINUITY

仕事の経緯を引き継ぐ

何を目指しているか、前回どこまで進んだかを踏まえて、次の対応を考えます。

02 / FOLLOW-UP

変化に応じて動く

定期実行や必要なタイミングでの再確認を通じて、追加の情報や未完了の仕事を追います。

03 / CONNECTION

複数の道具を使う

許可されたアプリやブラウザを使い、情報を読むところから成果物の作成まで進めます。

04 / REPORTING

必要な判断を人へ返す

結果や未解決の点を知らせ、人の判断が必要な場面で作業を引き継ぎます。

これは各社の説明を業務目線で整理したものです。「常時稼働」は、継続的な役割を引き受ける性質を指します。実際にいつ動くか、どの程度の作業を続けられるかは、設定や利用枠、接続先の状態によって変わります。

Dots・Grok Bot・Museの特徴

Dots:継続する仕事を引き受ける

Dotsは、ChatGPTで進行中の仕事を追い、必要な次の対応を考えるエージェントです。クラウド上に専用のコンピュータとブラウザを持ち、つないだアプリを使いながら、利用者が会話していない間も作業を進めます。関連する会話や好みを踏まえ、結果や判断が必要な点を返す設計です。[1]

Grok Bot:役割を持つBotで仕事を分担する

Grok Botは、名前や役割を与えたBotに仕事を依頼できます。複数のBotが連携し、クラウド上のコンピュータや接続先を使って作業します。同じアカウントのBotはファイルやブラウザのログイン状態などを共有するため、役割を分ける際には、共有される情報の範囲も確認します。[2]

手順を再利用するSkillsと、決めた条件で作業を起動するRoutinesも用意されています。繰り返しの仕事では、実行頻度によって利用枠の消費が増える点も押さえておきたいところです。[8]

Muse:個人の目標と日々の作業を支える

Museは、MetaのパーソナルAIエージェントです。目標に沿って計画や作業を進め、アプリを閉じた後も継続し、状況の変化や承認が必要な操作を知らせます。日本向けの発表では、Gmail、Googleカレンダー、Instagramなどとの連携が紹介されています。[3]

小規模事業者向けには、店舗や顧客に関する情報、SNS、業務ツールをつないだ活用も紹介されています。国内サービスとの連携には今後の取り組みとして発表されたものもあるため、発表済みの計画と、実際に使える機能を分けて確認しましょう。[3][4]

日本での提供状況と利用条件

以下は2026年11月1日に確認した公式案内の整理です。利用できるプランや地域、組織の設定は、契約や導入を検討する際の確認項目になります。

公式情報で確認した利用条件(2026年11月1日)
サービス日本からの利用に関する案内料金・利用枠の考え方
Dots対象アカウントへ順次提供。Proの除外地域に日本の記載はなく、Business Premium・Enterpriseは世界向けに展開。Enterpriseは管理者による有効化が必要。[1]Pro 100・200・500、Business Premium、Enterpriseが対象。委任した仕事にはWorkやCodexの利用枠も適用。[1]
Grok Bot参照した概要・プランの公式ページでは、日本に特定した提供可否の記載を確認できませんでした。利用アカウントの対象可否を確認します。The X SubscriptionではPremium・Super・Ultraに含まれ、Grok・Cursorとの週次共通枠を使用。従来契約の利用経路も案内されています。[5]
Muse2026年10月23日に日本で提供開始。iOS・Android・ウェブが対象。発表された一部の新機能の国内提供は別途案内。[3]多くの基本機能を無料で提供し、追加利用向けのサブスクリプションも用意。[3]

DotsのProには年齢や地域に関する条件も記載されています。対象プランでも、段階的な提供によって機能がまだ表示されない場合があります。料金額や利用枠の詳細は、各社の最新のプラン案内と契約画面を確認してください。[1]

自分のパソコンを閉じた後もクラウドで進む仕事と、手元のパソコンが必要な仕事は区別します。たとえばDotsが接続したローカル環境を使う場合、そのパソコンはオンラインで、ChatGPTアプリが開いている必要があります。[1]

仕事の一日は、どう変わるか

ここからは、活用を考えるための想定例です。「来月の説明会の準備担当」を任せる場面で、一日の流れを見てみましょう。特定サービスでの実測結果や、導入実績を示すものではありません。

朝

予定と、返事を待っている項目を確認

許可した予定表や連絡を参照し、会場への確認、参加者からの回答、資料の締め切りを整理します。人は、今日決める必要があることから確認できます。

昼

新しい連絡を、準備中の仕事へ反映

参加人数や持ち物に変更があれば、元の連絡とともに変更候補をまとめます。修正が必要な案内文や資料も、下書きとして用意してもらいます。

午後

判断が必要なことを受け取る

「配布物の数量を決めたい」「この条件は先方への確認が必要」といった論点を受け取り、人が決めます。返事がない事項については、次にいつ確認するかも整理します。

夕方

完了・保留・次の対応を確かめる

一日の終わりに、終わった仕事、回答待ち、人の判断待ちを分けて確認します。翌日も同じ担当範囲を引き継げるよう、状況を残します。

この使い方で変わるのは、文章を作る速さだけではありません。人が何度も思い出して確認していた仕事を、経緯と一緒に追ってもらえる点です。ただし、AIの「完了」という報告は、参照元や成果物を見て確かめます。

「担当する仕事」を、どのように伝えるか

継続する役割を任せるときは、成果物に加えて、動く条件と報告の条件も言葉にします。次の5項目を決めると、何をしてくれる担当なのかが明確になります。

  • 担当範囲:どの案件について、何を終えた状態にしたいか。
  • 参照先:読んでよい資料、対象のメールや予定、最新版を判断する基準。
  • 実行のタイミング:いつ確認し、どんな変化があったら動くか。
  • 報告する条件:期限が迫る、情報が食い違う、人の判断が必要になる場合など。
  • 任せる期間と終了条件:いつまで続け、何をもって終了するか。

依頼文の例:説明会の準備状況を追う

今後2週間、この説明会の準備状況を追ってください。参照するのは、指定した準備表と説明会に関するメールだけです。平日午前9時(日本時間)に、締め切り、回答待ち、担当未定の項目を確認してください。期限まで2営業日以内で未完了の項目、資料間で食い違う項目、私の判断が必要な項目があれば、元の資料へのリンクを付けて知らせてください。返信や案内文は下書きまでとし、送信や予定の変更は行わないでください。開始前に、確認する日時、終了日、参照できる範囲を復唱してください。

これは依頼内容を整理するための例です。実際の登録方法や実行できる処理はサービスによって異なります。最初の実行後に、対象資料、時刻、報告内容が意図どおりかを確認します。

普段は通知を増やさず、必要な変化だけ知らせてもらう設計も有効です。「変わっていないことを毎回報告する」より、どの変化を知りたいかを具体的に伝えると、確認する側の負担を抑えやすくなります。

継続して任せるための確認ポイント

読める範囲と、変更できる範囲を決める

必要な案件の情報から接続し、読む、下書きを作る、更新する、送るといった操作ごとに任せる範囲を決めます。複数のBotで環境を共有するGrok Botでは、役割を分けただけでファイルやログイン状態も分離されるとは考えず、共有範囲を確認します。[2]

承認の仕組みと、自分の指示を確かめる

Dotsでは、行動前の自動審査に加え、指示やカスタムルールが操作の扱いに影響します。Grok BotにもAuto Reviewとルールがあり、操作によって自動実行や承認待ちに分かれます。MuseはSentinelという独立した仕組みで操作の許可を判定します。承認の条件はサービスや設定で異なるため、実際の操作内容と権限を見て確認します。[6][7][9]

処理の履歴と、利用量を見返す

何を参照し、何を作成・変更したかを確認できるようにします。未取得の情報があれば、未確認のまま報告してもらうことも大切です。定期実行は頻度を上げるほど利用量が増えるため、最初は必要な回数に絞ります。[8]

止め方を、始める前に確認する

一つの会話を止めても、委任した仕事や定期実行が残る場合があります。Dotsの公式案内でも、現在の主タスクの一時停止、委任タスクの停止、スケジュールの解除は分けて説明されています。終了時には、動いている仕事と接続を確認します。[6]

いつも気にかけている仕事から、一つ選ぶ

導入を考える入口は、「何を作らせるか」に加え、「何を継続して追ってほしいか」を見つけることです。週次会議の準備、回答待ちの案件、期限のある社内作業など、担当範囲を説明できる仕事が候補になります。

一つの役割で、必要な情報が集まるか、報告が役立つか、人が確認しやすいかを確かめます。確認や修正にかかる手間も見ながら、任せる範囲を調整しましょう。

参考資料

公式資料を2026年11月1日に確認しました。機能・提供条件の説明は各社の案内に基づきます。業務例、依頼文、導入の進め方はGood Steadによる提案です。

  1. OpenAI:Meet dots(仕組み・利用条件)
  2. Grok Bot:Overview(Botの連携と共有環境)
  3. Meta:パーソナルAIエージェント「Muse」を日本で提供開始(2026年10月23日)
  4. Meta:Muse for Small Business
  5. Grok Bot on The X Subscription(対象プランと利用枠)
  6. OpenAI:Control your dot(承認・権限・停止)
  7. Grok Bot:Approvals, security, and privacy
  8. Grok Bot:Skills and routines
  9. Meta:How We Built Safety Into Muse